にわか考古学ファンの独り言(弥生時代)

 弥生前期末~中期前半(前4世紀~前3世紀)⑤

 鉄器の出現

 青銅器と並ぶもう一つの金属器である鉄は、青銅器とは異なる機能をもちます。開墾や水田・畑での農作業に用いるクワやスキの刃先につけるくわ先やスキ先、収獲具の鉄鎌、木を伐採して種々の木製品を作るために機能分化した鉄の斧、細部加工の刀子、ノミ、ヤリガンナ。そして人を殺傷するための道具である鉄剣や鉄矛などの武器。さまざまな利器として使われています。

 鉄は炭素量の違いで性質が異なります。炭素量が2%以上含まれる鉄は鋳鉄と呼ばれ、硬いがもろいという性質があるので利器には向きません。後世には仏像や鉄瓶など容器に使われています。鋳鉄を鋳型に流し込んで作られた鉄器を鋳造鉄器と呼びます。炭素量が2以下の鉄は鋼と呼ばれ、柔らかいが腰があって粘りがあるので利器に向いています。折り曲げたり鍛いたりしてつくる鉄器を鍛造鉄器と呼びます。主に武器、農耕具に用いられます。しかし、前4世紀前葉から鉄器が使われるようになったといっても、木の伐採や切断、加工など、ほとんどの作業は石器で行われていますし、クワ先やスキ先、鉄の武器が出現するのはまだだいぶ先の話です。したがって破片の破面に刃を研ぎ出して、ノミなどに再加工された小鉄器を木製容器の細部を加工する際に、限定的に使っていた程度と考えられています。

(参考文献)

藤尾慎一郎「鉄器の出現と加工」『弥生時代の歴史』講談社現代新書2015年