2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

にわか考古学ファンの独り言(旧石器時代その②)

「前・中期旧石器遺跡捏造事件」について③ 捏造事件後、日本考古学界では「前・中期旧石器問題調査研究特別委員会」が組織され、三年間の検証がなされ、男が関与した遺跡や石器のすべてについて「学術資料として扱うことは不可能」との見解が示された。 また…

にわか考古学ファンの独り言(旧石器時代その②)

「前・中期旧石器遺跡捏造事件」について② 「最古探し」に必死の考古学研究において、迷いもなく研究者は虚偽の海に泳がされた。そのなれあいで無批判な体質、発見やロマンという名の危うい罠、検証されずに流し続けられる考古学的ニュースなど、背後にある…

にわか考古学ファンの独り言(旧石器時代その②)

「前・中期旧石器遺跡捏造事件」について① 目を覆うようなスクープが2000年11月5日、毎日新聞の朝刊トップを埋めた。「前・中期旧石器遺跡捏造事件」の震撼が、日本中へと広がった瞬間だった。 「神の手」の異名をもつ男は、縄文遺跡などから採取してきた新…

にわか考古学ファンの独り言(旧石器時代その②)

「前・中期旧石器遺跡捏造事件」について① 目を覆うようなスクープが2000年11月5日、毎日新聞の朝刊トップを埋めた。「前・中期旧石器遺跡捏造事件」の震撼が、日本中へと広がった瞬間だった。 「神の手」の異名をもつ男は、縄文遺跡などから採取してきた新…

にわか考古学ファンの独り言(旧石器時代その②)

旧石器人の食事 私たちとは異なる人類であるネアンデルタール人は、出土人骨に残るコラーゲンの同位体分析結果では、肉食中心の食生活で、食物連鎖の最上位にあったことが明らかにされています。彼らはマンモスや毛サイなどの大型哺乳類を選択的に狩猟し、そ…

にわか考古学ファンの独り言(旧石器時代その②)

旧石器時代の地域性 北緯二四度から四六度におよぶ南北に長い日本列島は、さまざまな環境変化をみせています。たとえば真冬でもTシャツ一枚で過ごせる沖縄から、マイナス二〇℃を下回りストーブをガンガンと炊き続ける北海道旭川では、大きく環境が異なります…

にわか考古学ファンの独り言(旧石器時代その②)

陥し穴について 遠く富士の雄姿を望む箱根山麓の初音ヶ原遺跡の尾根には、人をすっぽりと飲み込んでしまうほどの穴が赤土に掘り込まれていました。箱根山麓を生活の舞台に組み込んだ旧石器人たちが掘った穴です。スコップなどの掘削具のない時代、おそらく木…

にわか考古学ファンの独り言(旧石器時代その②)

磨かれた斧 旧石器時代の定義を覆す発見が、日本列島で相次ぎました。刃の部分を研磨した局部磨製石斧の発見です。この時代には、磨製石器がなく打製石器を用いていたという主要な定義のひとつは、完全に見直しをかけられることになりました。しかも、この局…

にわか考古学ファンの独り言(旧石器時代その②)

旧石器の進化 人類が持った最初のツールである旧石器は、狩りをする、調理する、あるいは道具を製作するために用いられ、自らの生命をゆだねる道具として、創意工夫をもって進化を遂げてきました。また、石器を保有する集団によっても、そのデザインが異なり…

にわか考古学ファンの独り言(旧石器時代その②)

石器をつくる技 ねらいを定め、川原石のハンマーを黒曜石に打ちおろします。「パシッ」と音がして、鋭いカケラが剥がれ落ちます。石器の材料となる剥片です。このカケラをもとに、ナイフ形石器や尖頭器、搔器などさまざまな旧石器の道具が作られます。 石器…

にわか考古学ファンの独り言(旧石器時代その②)

旧石器人の道具 考古学者は、石器の製作手順や形態に基づいて石器を分類し、名前を付けます。「技術形態学」と呼ばれる分類法です。一万年以上後の私たちが石器に名前を付けるので、当然当事者である旧石器人の道具の認識とは異なっていることも考えられます…

にわか考古学ファンの独り言(旧石器時代その②)

前回、旧石器時代編を書きましたが、まだ書き足りないので旧石器時代その②編として書いていこうと思います。 旧石器遺跡を掘る エジプトで王家の谷を掘る。イースター島でモアイ像を調べる。藤ノ木古墳で黄金に輝く倉金具を掘る。いずれもロマンに満ちた考古…

にわか考古学ファンの独り言(古墳時代その②)

ヤマトと地方との関係性 地方の古墳である埼玉県稲荷山古墳や熊本県江田船山古墳の刀剣には、その持ち主が代々の大王へ奉仕した事績や、かれらの職制が刻まれています。これにより、五世紀には地方豪族が中央に出仕するシステムが存在していたことが明らかに…

にわか考古学ファンの独り言(古墳時代その②)

古墳時代の首長について 日本では、弥生時代に本格的な農耕社会が誕生しました。農耕、とくに稲作においては、種まきから収穫にいたるまで、長期にわたる人びとの協業が欠かせません。このとき、時間や労働を管理し、集団の利害調整や富の分配を行う権限が、…

にわか考古学ファンの独り言(古墳時代その②)

古墳時代の実際(社会景観) 古墳時代の社会の姿を、火山灰に埋もれた群馬県榛名山麓地域の遺跡群の発掘調査から復元してみます。地域の中心には首長居館(三ツ寺I遺跡)があり、それを核にして、周囲にムラが展開しています。ムラには黒井峯遺跡にみられた…

にわか考古学ファンの独り言(古墳時代その②)

小区画水田について 古墳時代における生業の基本は農耕でしたが、田や畑の跡を発見するのはなかなか困難です。竪穴建物などは地面を深く掘り込むためその痕跡が残りますが、農地は日々耕され、一旦放棄されるや急速に風化してしまうからです。しかし、発掘調…