2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

にわか考古学ファンの独り言(縄文時代)

縄文研究の行方について マルクス主義の唯物史観が強い影響力をもっていた戦後の考古学では、縄文時代の社会は採取経済段階の原始共同体(民族共同体)と規定されていました。石母田正は、縄文時代を「野蛮の後期」に位置づけ、縄文社会を呪術宗教に支配され…

にわか考古学ファンの独り言(縄文時代)

縄文時代の道具と加工技術 縄文土偶について述べたとき、儀礼祭儀などの宗教的活動に関わる象徴的器物を「第二の道具」と呼び、本来の直接生産に関わる道具を「第一の道具」と呼んだことは前に話しました。今回はこの「第一の道具」について話したいと思いま…

にわか考古学ファンの独り言(縄文時代)

大形石棒について 土偶とならぶ象徴的遺物として「石棒」とよばれる大形の石製品があります。縄文人の身長の半分以上の長さをもつのが普通であり、最大の例は2mを越えます。片手ではとても持ち上げることのできない長大で重たい石製品であります。傘型の頭部…

にわか考古学ファンの独り言(縄文時代)

縄文土偶について 縄文人の道具には、日常生活を支える実用的な道具類と、儀礼祭祀などの宗教的活動に関わる象徴的器物です。小林達雄はそれを「第一の道具」と「第二の道具」と呼んでいます(小林達雄1996)。縄文時代の遺物のなかには、縄文文化に固有の「…

にわか考古学ファンの独り言(縄文時代)

土器の型式について 型式を調べることで縄文時代の年代が推定されるのですが、縄文土器の型式は非常に分かりにくいのです。それでも、考古学にはなくてはならない研究手段です。複雑な土器の型式を理論的に理解することは難しいのです。型式の基本に、「一つ…

にわか考古学ファンの独り言(縄文時代)

縄文土器について② 本来、「土器」とはその名のとおり土の器であります。ところが、縄文中期の甲信越地方から出土された土器は、日本列島でもっとも不可思議で隆起性に富んだ装飾文様があり、とても「器」の範疇に入りきれない縄文土器の象徴ともいうべき独…

にわか考古学ファンの独り言(縄文時代)

縄文土器について① 縄文土器の「縄文」は、明治時代に来日したアメリカの動物学者、エドワード・S ・モースが、東京・品川にある大森貝塚の土器の縄目文様の説明に使用した「cord mark」が語源です。それが和訳され、慣用的に使われるうちに定着し、「縄紋」…

にわか考古学ファンの独り言(縄文時代)

縄文人の四季と生業について 縄文カレンダーというイラストがあります。これは、春・夏・秋・冬の四季をつうじて、どのような植物、動物、魚類等を生業として利用したかを分かりやすく描いているものです。 これを見ると、季節に応じて利用可能な野生の食料…

にわか考古学ファンの独り言(縄文時代)

縄文時代の「布製品について」 縄文時代には、すでに植物の繊維を使って布が作られていました。当時はカラムシ、アカソといわれる植物の茎が布の原料となります。まずはこれらの植物を貝殻や動物の骨でしごき、乾かします。その後ほぐした繊維に手で撚りをか…

にわか考古学ファンの独り言(縄文時代)

コラム① 自然災害、コロナ禍、戦争について このブログの最初に、現代社会を覆っている三つの病巣として「自然災害、コロナ禍、戦争」があり、これらの病巣について縄文時代と対比させることに、何らかの解決策が見えてくるのではないかというような話をしま…

にわか考古学ファンの独り言(縄文時代)

竪穴住居について② 前回の竪穴住居の概要については、話が少し硬くなりすぎましたので、竪穴住居の間取り等について解りやすく述べたいと思います。 茅葺き住居の場合、最後に茅を使いますが、その茅の代わりに樹皮や草木で下地を作り、その上にその上に土を…

にわか考古学ファンの独り言(縄文時代)

竪穴住居について① 縄文時代の遺跡から出土する住まいの遺構でもっとも一般的なものは竪穴住居です。地面を数10㎝ほど掘り下げて床面と壁を作り出した半地下式の家屋です。そして、竪穴住居内の床面には普通1か所の炉が設けられています。北海道大船C遺跡で…

にわか考古学ファンの独り言(縄文時代)

縄文人の食卓 縄文人は旬のものを食べながら、同時に保存食を作っていました。旬の食材をどのようにして食べたかというと、魚介類、山菜、キノコ、時には肉を入れた、今でいうちゃんこ鍋のようなものを食べていたと考えられていますが、スープ状のする以外に…

にわか考古学ファンの独り言(縄文時代)

縄文時代の調理法(集石遺構) 縄文人のなりわい(食料獲得の技術)として、植物採取と狩猟・漁撈は欠かせませんが、もう一つの大きな視点はその調理方法です。縄文時代遺跡で検出される遺構で、集石遺構というものがあります。これは、多くの石(礫)を集約…

にわか考古学ファンの独り言(縄文時代)

縄文人の狩猟と漁撈 縄文時代の人びとのなりわい(食料獲得の技術)を考えるとき、植物採取が最も重要なことはいうまでもありませんが、貴重な動物性たんぱく質を得るためには、狩猟や漁撈が行われていたことは間違いありません。ここでは、狩猟の技術と漁撈…

にわか考古学ファンの独り言(縄文時代)

植物食以外の植物利用「編組製品) 縄文時代の人と植物との関係を考えるとき、食料が重要なのは言うまでもないことですが、それ以外に道具の素材や竪穴住居などの建築部材、調理や暖を取るための燃料材、植物繊維、塗料、そして薬用など、縄文人がさまざまな…

にわか考古学ファンの独り言(縄文時代)

植物利用 「縄文人は何を食べてきたか」 これも、じつに悩ましい問題です。なぜなら、農耕が始まっていない縄文時代において、狩猟採取以外には生存の糧がなく自然の資源(植物)を巧みに利用することで、非常に長期にわたって文化を維持してきたからです。…

にわか考古学ファンの独り言(縄文時代)

縄文の起源 「縄文時代はいつからはじまるか」 これは、じつに悩ましい問題です。旧石器時代と縄文時代の画期を何に求めるかによって、そのはじまりは違ってくるからです。 もっとも一般的な説は、日本列島における「土器」の出現をもって、縄文時代とするも…

にわか考古学ファンの独り言(縄文時代)

縄文時代の位置づけ まずはじめに縄文時代をどうとらえるかですが、農耕牧畜の開始、定住化と都市の形成、そして文明化を人類の歴史発展の必然性と考える立場からみると、古代文明を生み出した地域こそが、世界史の最先端であったと定義することになります。…

にわか考古学ファンの独り言(縄文時代)

はじめに 私は奈良大学の文化財歴史学科(通信教育)を履修したものです。その中で考古学に興味を持ち、特に縄文時代について勉強を始めました。 縄文時代は農耕に頼ることなく、1万年以上にわたって狩猟採集の生活文化が持続しました。そして、縄文時代ほど…